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多軸的な自己を生きるー交錯するポジショナリティのオートエスノグラフィ
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『多軸的な自己を生きるー交錯するポジショナリティのオートエスノグラフィ』
沼崎一郎 監修/西川慧、リーペレス・ファビオ、中野惟文、包双月 編

定価(本体4,500円+税) A5判  310頁
ISBN978-4-86163-396-6 C3039
(2024年3月刊行)

人類学の歴史は、絶え間ない相対化の歴史であった。自民族中心主義に対する批判から民族誌表象をめぐる内省を経て、人類学は自らの抱える複数の「立場性」=ポジショナリティに光を当てる。本書では、人類学者のフィールドワークと人生において、国籍やエスニシティ、ジェンダーといった複数のポジショナリティが対立と葛藤を生み出しながら絡まり合う様相をオートエスノグラフィによって描き出す。本書は人類学者というポジショナリティ自体も分析の俎上にあげることで、それがもつ理論的意義と、人類学を学ぶことの意義を探る試みである。

序 章  多軸的な自己を生きる私たち
第一部 「日本人」人類学徒の異文化フィールドワーク体験
 第一章 ポジショナリティを学ぶ、学び直す
    —フィールドにおける「私」のゆらぎ
 第二章 ブータン人技能実習生と留学希望者とのかかわりから考える
    —フィールドにおける自己変容の失敗
 第三章 「病人」になり「文化人類学者」ではなくなる
 
第二部 「イスラーム」の宗教と生
 第四章  イスラームと人類学をめぐるオートエスノグラフィ
 第五章  「他者」として「他者」にかかわる
     —日本社会を生きるムスリム女性に向き合うことを通して
 
第三部  文化の外部と内部の往還
 第六章  厳密な意味でのストレンジャーのライフストーリー
 第七章  ネイティヴの人類学者になるということ
    —日本で人類学を学んだモンゴル人人類学者の事例から
 第八章  食べ方を知っているか
    —マレーシア・クランタン・プラナカン 
    華人コミュニティにおける、食べ物にもとづいた複数のエスニック・ポジショナリティ
終 章  人類学的に生きるということ  (目次より)