東北大学出版会|書籍情報|書籍詳細 
HOME >> 書籍情報 >> 詳細

書籍情報


道元『正法眼蔵』 仏経・無情説法 略解
在庫状況:在庫あり
数量

『道元『正法眼蔵』 仏経・無情説法 略解』
早川祥賢 著

定価(本体2,800円+税) A5判 180頁
ISBN978-4-86163-382-9 C3015
(2023年2月刊行)

本書は『正法眼蔵』に関するテクスト研究であり、思弁的・哲学的な研究を目指したものではない。ただし、研究の結果として次のような結論が得られた。(1)道元は「仏経」巻で「この世界はひとつの巨大な経典であり、われわれがその中の登場人物として経験している『現実』は実は一種の仮想現実である」という思想を提示した。(2)しかしこの場合、「われわれはいかにして仮想現実を突き抜けて『経』(根源的真理)にアプローチできるか」という問題が生ずる。道元が「無情説法」巻で試みたのは、この問題に答えを与えることであった。

《目 次》

序論
本書の方針
道元について
『正法眼蔵』とその他の著作
「仏経」巻と「無情説法」巻
両巻の構成
『正法眼蔵』に引用されている問答について
註(序論)
仏経 本文・現代語訳・略解
このなかに、教菩薩法あり、教諸仏法あり
知識はかならず経巻を通利す
いはゆる経巻は、尽十方界これなり
この経巻、よく蓋時に流布し、蓋国に流通す
必得是経のときは、古今にあらず
この経をすなはち法となづく
しかのみにあらず、是什麼物恁麼来、これ教諸仏の千経なり
第二十七祖般若多羅尊者道
先師尋常道
しかあればすなはち
しかあるに、大宋国の一二百餘年の前後にあらゆる杜撰の臭皮袋いはく
先師天童和尚、よのつねにこれをわらうていはく
また杜撰のともがらいはく
大宋いまかくのごとくのともがら
おおよそ異域の僧侶なれば
しかあればすなはち
奥書
註(仏経 本文・現代語訳・略解)
無情説法 本文・現代語訳・略解
説法於説法するは、仏祖附嘱於仏祖の見成公案なり
しかあればすなはち
大唐国西京光宅寺大証国師
「常説熾燃、説無間歇」とあり
しかあれば、無情説法の儀、いかにかあるらんと
国師道、「諸聖得聞」
国師いはく、「我不聞」
国師いはく、「頼我不聞。我若聞則、斉於諸聖」
高祖洞山悟本大師、参嚢祖雲巌大和尚問曰
いま高祖道の「無情説法什麼人得聞」の道理
嚢祖雲巌曰、「無情説法、無情得聞」
高祖道の「若恁麼、則某甲不聞和尚説法也」
おほよそ聞法は、たゞ耳根・耳識の境界のみにあらず
嚢祖道、「我説汝尚不聞、何況無情説法也」
高祖ときに偈を理して雲巌嚢祖に呈するいはく
古云、「尽十方界是沙門一隻眼」
舒州投子山慈済大師
奥書
註(無情説法 本文・現代語訳・略解)
補注
補注一 説法世界論とシミュレーション
補注二 「仏経」巻と「諸法実相」巻
補注三 鳥道に不行
補注四 牆壁瓦礫
補注五 葫藘藤種纒葫藘
補注六 尽十方界是沙門一隻眼
原文対照表(彗忠の問答)
原文対照表(雲巌と洞山の問答)
註(補注)
解題
本書に関連する先行研究
「仏経」巻と「無情説法」巻の概要 
仏教史の中の説法世界論
註(解題)
あとがき