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『マックス・シェーラーの倫理思想—〈倫理的人格の生成と存在〉の視座から —』
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『マックス・シェーラーの倫理思想—〈倫理的人格の生成と存在〉の視座から —』
岩谷 信 著
定価(本体5,800円+税) A5判 370頁
ISBN978-4-86163-378-2 C3012
(2023年1月刊行)
本書の核心は次の二点の論究である。⑴ シェーラーの「倫理学的人格主義」の中核であり、自己自身が〈間主体的な実存〉であると了得する人間の「自己集中」の過程として説かれている〈倫理的人格の生成と存在〉論の根底には、〈人間の尊厳は奈辺に存するか〉という問いが潜むこと。 ⑵ それに答える過程でシェーラーの企てた、ニヒリズムを秘めた西欧近代市民社会(ゲゼルシャフ)の〈相対化〉や、〈実存的・絶対的〉な「愛と応答愛」の「倫理」としての称揚が、前世紀でのレヴィナスやコフート等の思想形成の直接的な基盤だということ。
第1章 起点としての〈尊厳死〉の「尊厳」問題
第2章 「愛の秩序」としての「同情感情の基礎づけ法則」(その一)
第3章 「愛の秩序」としての「同情感情の基礎づけ法則」(その二)
第4章 「愛の秩序」としての「同情感情の基礎づけ法則」(その三)
第5章 〈精神化した高次の自愛〉としての「道徳的な自己愛」の主体
第6章 人間的「人格」の「生成と存在」の場としての「社会的統一態」
第7章 「欲得社会」での「最高の自己愛」としての「真正な自己愛」
第8章 「倫理的宇宙」としての「教会」の一員となる「真正な自己愛」の主体
第9章 シェーラーの描く「倫理的に価値ある人格」像とその破棄
第10章 シェーラーを導いていた〈いま一つ〉の「倫理的に価値ある人格」像
第11章 シェーラーの倫理思想の今日的な意義―結語に代えて