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線描の芸術 ―西欧初期中世の写本を見る―
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『線描の芸術 ―西欧初期中世の写本を見る―』
越宏一 著

定価(本体2,000円+税) 四六判、230頁
ISBN978-4-925085-41-0 C3070
(2001年10月刊行)

東北大学出版会叢書7

《目 次》
はじめに
第一章 中世の前と後―素描(線描)の語源
第二章 《ダロウの書》―中世最初期の線描的挿絵
第三章 写本の挿絵―彩描と線描
第四章 《フィロカルスの暦》―古代末期の線描挿絵
第五章 《ユトレヒト詩篇》その一―リテラルな挿絵の方法
第六章 《ユトレヒト詩篇》その二―プロトタイプの問題
第七章 《ユトレヒト詩篇》その三―様式の特徴
第八章 《ウィーンの戴冠式福音書》から《エボンの福音書》へ―カロリング朝ランス派様式の生成
第九章 《ハーレー詩篇》―イングランドにおける《ユトレヒト詩篇》の遺産

本書は初期中世写本の傑作《ユトレヒト詩編》を詳細に論じ、線描画こそ近・現代ヨーロッパ絵画の根幹をなす枢要なファクターであることを明らかにする。この斬新な主張、そしてそれを支える著者の美意識、畢竟それは線の濃やかさに敏感な日本人の伝統的な鑑識眼に繋がっている。これによって、遠く霧がかかったような初期中世世界と現代の日本とが急に隣りあわせにあるかのような親近感を抱かせてくれる。本書は、西洋の写本芸術に関する総見に溢れているが、図版を豊富に用いて、平易な語り口で「線描の芸術」へと読者を誘う。待望の書である。