書籍情報
『仙台基督教育児院史からよむ 育児院と学校』
田澤薫 著
定価(本体2,000円+税) A5判 190頁
ISBN978-4-86163-110-8 C3037
(2009年4月刊行)
学齢期の子どもたちは、家庭と学校を居場所としながら育っていく。家庭は個々に応じて様々であり等しく与えられるものではないが、義務教育はどの子も等しく享受できるのだろうか。
家庭に替わる施設で暮らす子どもたちは、生活よりもむしろ教育の面で不遇を託つ歴史を経験してきた。仙台基督教育児院史を紐解くと、施設が、独自には護れない学校教育を苦心して子どもたちに保障し、かつ更なる教育を生活の希望として積極的に取り込もうとした事実に驚かされる。施設資料を丹念に掘り起こし、関係者の聞取りも手がかりとして施設における教育の営みに光をあてた本書は、子どもの生活にとって学校がもつ意味を鮮やかに浮かび上がらせている。
《目 次》
はじめに
第一章 仙台基督教育児院史への関心と問題の所在
第二章 資料の状況と先行研究
第一編 仙台基督教育児院という施設
第一章 事業のはじまり
第二章 設立理念「教養」がめざすもの
第三章 育児院の子どもたち
第四章 就学奨励の教育機関か貧孤児救済施設か
第五章 育児院に集う協力者たち
第二編 育児院にできた小学校
第一章 院内小学校の経過
第二章 宮城県師範学校の光と影
第三章 奉公と学校教育の終焉
第四章 感化救済事業期という時代
第五章 育児院の1930年代
第三編 育児院から通う学校
第一章 地元小学校への通学
第二章 中等学校への進学
第三章 尚絅女学校と育児院
おわりに
第一章 社会事業と教育の接点
第二章 社会事業実践史からの学校の意味
第三章 学校という希望