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カルチュラル・ミスエデュケーション‐「文化遺産の伝達」とは何なのか‐
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『カルチュラル・ミスエデュケーション‐「文化遺産の伝達」とは何なのか‐』
ジェーン・R・マーティン著、生田久美子監訳

定価(本体3,000円+税) A5判 302頁
ISBN978-4-86163-089-7 C3037
(2008年11月刊行)

《目 次》
1章 文化的富
Ⅰ.過多-教えることが多すぎる
Ⅱ.富を定義するということ-有害な還元
Ⅲ.ストックの保存-見えざる手の機能不全
Ⅳ.遺産を伝達すること-文化的損失と再生

2章 多元的な教育エージェント
Ⅰ.教育と学校教育-誤った同一視
Ⅱ.分散化した教育エージェント-教育者としての組織体
Ⅲ.保管-共同事業の利点とリスク
Ⅳ.分業-オペラ・ニューイングランドの事例
Ⅴ.生ける遺産と死せる遺物-保存の程度と伝達のメカニズム

3章 世代の教育的問題
Ⅰ.世代の問題-社会学から教育へ
Ⅱ.語り部(ストーリーテラー)たち-ソクラテスの仮説
Ⅲ.教育的社会という理想-欠点をもつ三つの見解
Ⅳ.学校と家庭-時代遅れの分業
Ⅴ.国のカリキュラム-現実逃避の反応

4章 負債の最小化
Ⅰ.文化の簿記-文化的富の調査プロジェクト
Ⅱ.保護と検閲-学校と社会にふさわしい文化的富のカリキュラム
Ⅲ.文化における市民権-それは一体誰のストックなのか

5章 資産の最大化
Ⅰ.遺産の分配-面倒なジレンマ
Ⅱ.同一の遺産-民主主義国の市民性から生じる議論
Ⅲ.異なる遺産-社会的平等からの議論
Ⅳ.カリキュラムの新たな問題-贈与(ギフト)としての学習
Ⅴ.社会的関係の相互依存モデル-いくつかの未解決問題

私たちは次世代に「何を伝えるべき」なのか、また「何を伝えてはいけない」のか。著者は、次のように警告する――もしも社会をなんの配慮もなくそのまま放っておいたとしたら、次の世代に伝達されるものは文化的富(Cultural Wealth)ではなく、文化的負債(Cultural Liability)になるであろう、と。
本書は、「文化遺産の伝達」という視点から、既存の「学校観」、「カリキュラム観」を再構築する必要性を主張する。教育における「文化」の問題を、基礎的かつ原理的な水準で問う書である。