書籍情報
『心の豊かさをつくる技術知』
尾坂芳夫 著
定価(本体2,500円+税) A5判、322頁
ISBN978-4-925085-21-2 C3040
(1998年1月第1刷発行) (1999年8月改訂版第1刷発行)
《目 次》
1.心の豊かさをつくる技術知を考える必要と意味
1.1 心の豊かさをたずねる―豊かさとは何か―
1.2 困難を克服する人間知能―生命躍進の原動力―
2.科学以前の人間的躍進に技術知の本性を探る
2.1 人類の基礎技術の萌芽
2.2 人類が抱いた最初の素朴な技術観
2.3 科学を知る以前の技術知が創造した現実体験の世界
3.批判的な自由な思想の萠芽と近代科学の成立
3.1 風土と人間の意識
3.2 自立的理性が萌芽する土壌―知性による創造主の理解の苦悩―
3.3 批判的な自由な思想の萌芽
3.4 近代科学の成立と進展
4.科学技術への進展
4.1 科学と技術の結合の鼓動
4.2 科学技術の進展―英知と情熱の成果―
5.技術と工学―その現実の場における働きと知の方法と特質―
5.1 使用価値を創出する総体知としての技術知
5.2 工学とその方法
5.3 科学技術と工学における創造
6.繁栄秩序への希いと心の豊かさをつくる技術知
科学技術は、物質的な豊かさを実現している。しかし今日は、諸々の技術害禍が現実の問題となっており、人類が将来において調和的な繁栄秩序を創出する道を進むことができるのかどうか、危惧されている。本書は、旧石器の太古から現代にいたる文明と技術の発展の跡をたどり、その歴史的事実をふまえて、人間の心の豊かさをつくる科学技術の発展の方向を探ろうとした。まず、技術を意識する以前の本性的技術行動と科学以前の壮大な技術実践による現実体験の世界を眺めて、技術知の本性を考えている。また自然を“客観的な成立ち”として理解する意識が神への思いによって呼び覚まされた事実の意味について考えている。そして、科学の方法と成果を取り込んで、また近代合理主義の潮流にのって、発達を続ける科学技術の様相を眺め、諸々の問題点を指摘して、科学技術が、自然・人間・社会に関わる全ての知を総合しながら発展を図る必要があること、技術知が、愛の心に包まれた真・善・美を求める精神と協働しなければならないことの結論に達している。