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『無私と人称ー二人称生成の倫理へー』
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『無私と人称ー二人称生成の倫理へー』
山本史華 著
定価(本体3,000円+税) A5判、294頁
ISBN978-4-86163-023-1 C3012
(2006年5月刊行)
第2回東北大学出版会若手研究者出版助成刊行図書
《目 次》
はしがき 無になりきれない人のために
序 章 人称を問う 目的と方法
第一節 人称という問題領域
第二節 人称論と自己/他者論の違い
第三節 人称のタキソノミー
第一章 無私と言葉
第一節 近代日本哲学における無私の系譜
第二節 日本語の特徴と無私の哲学 時枝誠記の言語過程説をもとにして
第二章 人称と記憶
第一節 一人称と記憶
第二節 二人称と記憶
第三章 人称の倫理
第一節 記憶と責め
第二節 二人称生成の倫理 犯罪における責任と人称
あとがき 不定型の思考
「私」は自我や自己と同じなのか。「私」は印欧語に翻訳できるのか。「私が無い(無私)」とはどのような事態か。なぜ西田幾多郎、和辻哲郎、森有正らは無私に価値をおくのか。日本語はいかなる特徴をもつ言語で、それらの特徴は無私とどう関係するのか。
本書は、無私からの人称生成/消失という観点から伝統的な自己/他者論を検討し直し、人称論の開拓を目指す。言葉、記憶、死に絡めて人称を論じ、最後は倫理の問題へ。現代の脱人称化した責任を批判し、犯罪に対峙する倫理学を提示する。2003年度日本倫理学会和辻賞受賞論文所収。