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消え去る差異、生み出される差異-中国水上居民のエスニシティ−
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『消え去る差異、生み出される差異-中国水上居民のエスニシティ−』
稲澤 努 著

定価(本体3,500円+税) A5判 302頁
ISBN978-4-86163-268-6 C3039 
第10回東北大学出版会若手研究者出版助成採択作品
(2016年6月刊行)

なぜ漁業に従事していないのに「漁民」と呼ばれ続ける人がいるのか。

本書は、先行研究の分析と中国広東省汕尾におけるフィールドワークによって、元水上居民である「漁民」の自他境界の消長を分析したものである。

中国南部の水上居民は文献等で「疍(たん)民(みん)」と呼ばれてきた。本書ではまず、そのようなマジョリティによって描かれてきた水上居民イメージの形成と再編について論じた。その上で、近年は陸上がりなどにより彼らと陸上のマジョリティとの目に見える文化的差異が減少しているにもかかわらず、その境界がどのように維持あるいは変遷してきたのかを明らかにした。

《目 次》

序 章 問題の所在
第1章 水上居民像の形成
第2章 水上居民像の再編
第3章 調査地概況―広東における汕尾
第4章 汕尾における「漁村」の成立
第5章 「漁村』の廟活動と漁民像の資源化ー漁村理事会の活動を中心に
第6章 汕尾市における諸エスニック・カテゴリーと「漁民」
第7章 あらたな他者とエスニシティ
終 章 結論ー消え去る差異、生み出される差異