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西洋近代における分権的統合 その歴史的課題-比較地域統合史研究に向けて
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『西洋近代における分権的統合 その歴史的課題-比較地域統合史研究に向けて』
小原豊志、三瓶弘喜 編

定価(本体4,000円+税) A5判
ISBN978-4-86163-204-4 C3022
390頁
(2013年3月刊行)

《目 次》

問題の所在と本書の課題 三瓶弘喜
第1部 地域間調整―その原理と諸問題―  
第1章 大不況期ドイツ社会政策学会における農村地域政策論  
  ―1882年ミアスコフスキ報告と大会討論の分析― 長井栄二
第2章 1870年代セントルイスにおけるホームルール運動 三瓶弘喜
第3章 オット・バウアー『民族問題と社会民主主義』における  
  財政論をめぐる論争と20世紀初頭のオーストリア社会 渡邊竜太
第4章 19世紀末における英愛財政関係と自治問題  
  ―1896年英愛財政関係に関する王立委員会最終報告 日浦 渉
  の検討から―  
     
第2部 広域空間と分権  
(1) 連邦制下における「国民的統合」  
第5章 南北戦争・再建と黒人選挙権 小原豊志
  ―選挙権における白人性の変容分析―  
第6章 ヴァイマル共和国初期エルツベルガー財政改革構想に  
  おける公正な租税負担の配分と間接税 細谷 要
(2) 広域的経済統合  
第7章 イギリス自由貿易政策とモルダヴィア・ワラキア 武田元有
第8章 英国金融使節団と両大戦間期の「グローバリゼーション」  
  ―1930年代債務危機下ラテン・アメリカにおける 佐藤 純
  中央銀行創設運動―  
補論 第一次大戦初期の独墺における中欧構想と 増淵文夫
  フリードリヒ・ナウマン  
終わりに   三瓶弘喜
あとがき   小原豊志
     

  グローバリゼーションという名のもとに激化した国際的競争の結果、現代世界は貧富の差の拡大や地方の疲弊に象徴される格差社会への道を急速に突き進んでいる。こうした新自由主義的趨勢に対して歴史学はいかなる対抗軸を提示することができるだろうか。本書はヨーロッパにおける「地域主権」意識に着目し、ヨーロッパ的地域統合の特質をアメリカ的地域統合および自由主義的世界市場統合を比較の座標軸として対置させながら歴史的に照射し、グローバリゼーションの論理とは異なるオールタナティブな地域形成・地域統合のあり方を展望する試みである。