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修羅とデクノボー―宮沢賢治とともに考える
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『修羅とデクノボー―宮沢賢治とともに考える』
滝浦静雄 著

定価(本体3,000円+税) A5判
ISBN978-4-86163-170-2 C1095
308頁
(2011年12月刊行)

《目 次》
第一章 予備的考察—崇高と「ディオニュソス」
第二章 賢治文学の出発点としての短歌
第三章 初期短編—不条理の淵
第四章 法華主義への傾倒
第五章 賢治童話の世界
第六章 アミニストとしての宮沢賢治
第七章 宮沢賢治の詩の世界
第八章 宮沢賢治のモダニズムと土着性
第九章 妹の死
第十章 北国への傷心旅行
第十一章 賢治の「風」と宇宙感覚
第十二章 「本当の百姓」と「農民芸術」
第十三章 「銀河鉄道の夜」考
第十四章 「デクノボー」への願い
終章 阿修羅の堕落としてのデクノボー

哲学者による宮沢賢治の世界への案内である。初期の短歌から詩および文学、さらには書簡にまでおよぶ賢治の生涯の作品が丹念に分析・解釈され、その核心が、孤高の知を目指す「修羅」とすべてを受け容れる「デクノボー」との間の格闘の所産として捉えられる。「崇高」と「ディオニュソス」という概念を用いて賢治のコスモロジー(=宇宙観)に新たな光を当てていく著者ならではの試みによって、文学的絶頂を極めんとして「崇高」を目指した賢治の営為が、陶酔と没落の「ディオニュソス」の祭祀と不可分であったことが、すなわち賢治文学の輝きが人間の深い悲しみの受容と共にあったことが、明らかになる。著者の賢治解釈を通して読者は同時に哲学の世界にも導かれて行くことであろう。

《著者略歴》
1960年 岩手大学学芸学部講師
1968年 東北大学文学部助教授
1971年 同教授
1985年 文学部長
1990年 定年退官・名誉教授
     岩手県立盛岡短期大学長
1997〜2000年 一関市博物館長
2011年 没