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再啓蒙から文化批評へ-大江健三郎の1957~1967
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『再啓蒙から文化批評へ-大江健三郎の1957~1967』
王新新 著

定価(本体3,000円+税) A5判、262頁
ISBN 978-4-86163-044-6 C3095
(2007年3月刊行)

第3回東北大学出版会若手研究者出版助成刊行図書

《目 次》
序  章
第一章 再啓蒙意識の現れ
  第一節 文壇登場:出発の原点としての「火山」
  第二節 時代を相対化する仕掛け:「奇妙な仕事」と「死者の奢り」
  第三節 再啓蒙意識の「露頭」
第二章 同時代への再啓蒙
  第一節 「戦後」への再啓蒙
  第二節 再啓蒙の冒険と挑戦
第三章 啓蒙者の脱構築と再構築
  第一節 啓蒙者の脱構築
  第二節 啓蒙者の再構築
第四章 文化批評の達成
  第一節 「歴史」の語り方:『万延元年のフットボール』における大江の新しい問題意識
  第二節 「歴史」の喚起と追究:文化批評の成立
終 章

大江健三郎は日本人の生存状況の思考に身を置き続けている。彼は戦後日本の社会危機と文化危機の申し子であり、危機を打破し、新生を呼びかける啓蒙者と批評者でもある。本論では、初期大江文学の問題意識及びその根底にあったものに注目し、それを再啓蒙意識、自己啓蒙意識と文化批評意識のようにまとめ、一中国人の日本文学研究者という立場から大江文学を解読しようと試みた。そして、文学の独立性を保ち、時代を表現しながらも時代との緊張関係を保つことができた大江文学の考察を通して、「文以載道」の伝統をもっている中国文学に示唆を与えようとする。